2013年8月号Volume 10 Number 8

ホーキング博士が、対イスラエル学術ボイコットに参加

ケンブリッジ大学のホーキング博士は、世界で最も名前を知られた物理学者の一人だろう。その彼が、今回、パレスチナ占領地におけるイスラエルの行為に抗議する「学術ボイコット運動」に参加することになった。具体的には、6月中旬に開催されたイスラエルのペレス大統領の90歳を祝う各種式典への参加を見送ったのだ。ケンブリッジ大学は当初、「健康上の理由」としていたが、同じ日に、パレスチナの学者の助言に基づいて欠席すると訂正発表した。英国では、労働組合が反ユダヤ的状況を醸し出したという訴えが退けられたばかりだった。

Editorials

多くの科学者は、過激な実験動物保護運動に頭を痛めてきた。しかし、英国の16歳の学生が始めた「プロ・テスト運動」が非常に有効な反撃となった。 研究を擁護する科学者は自信を深めているが、後押しが必要だ。

科学の国際化が進んでいることは歓迎すべきだが、それによって国内での研究活動が損なわれる危険性もある。 国際化が進むほど、国内で科学を共有化することに留意すべきなのだ。

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Research Highlights

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News

マウスの研究から、爪の根元には幹細胞があり、これが部分的に切断された指先を再生させることが明らかになった。 この再生に使われるタンパク質やメカニズムは、 両生類の再生過程で使われるものと類似している。

過酷な環境条件下でも酸素を得るために、動物はさまざまな方法を進化させてきた。今回、3つの研究から動物たちの独自の戦略が明らかになったが、どの方法も筋肉の酸素を最大限に活用するよう進化を遂げてきている。

太陽系外の惑星探索で素晴らしい成果を挙げてきたケプラー宇宙望遠鏡だが、姿勢制御に必須のリアクションホイールが故障してしまい、残念ながら終わりのときを迎えたらしい。

17年ゼミの生態は、その世代時間の長さゆえに研究が進まず、多くが謎に包まれている。2013年5月末、その17年ゼミの一斉羽化が始まり、研究者はこの機を逃すまいと大忙しだ。

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News Features

遺伝子組換え作物の導入により、スーパー雑草は本当に誕生したのか?インドの農民は自殺へと追いやられているのか?導入遺伝子は野生種にまで広まっているのか?遺伝子組換え作物をめぐるこれら3つの疑惑に対して、その真偽を検証する。

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Japanese Author

2012年9月、大阪大学医学部の澤芳樹教授らは、衝撃的な臨床治療の成果を発表した。その患者は重篤な拡張型心筋症で、補助人工心臓なしでは生きられない状態だったが、細胞シート移植で心筋機能が回復、無事退院したというのだ。その補助人工心臓の開発メンバーの1人でもある早稲田大学理工学術院の梅津光生教授は、今回、毛細血管付きの三次元細胞シートの作製に成功した。

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News & Views

細胞内小器官であるミトコンドリアでは、タンパク質翻訳速度が自然な形で変動している。今回、その変動が寿命と相関していることが明らかになった。このことは、代謝の変化が長寿に及ぼす影響に関して、何らかの統一的なメカニズムが存在する可能性を示唆している。

科学者たちは長い間、電気を使って溶融酸化鉄から鉄と酸素を作ることを夢見てきた。 今回、高温と腐食性化学物質に耐えるアノード材料が開発され、実現に向かって一歩前進した。

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News Scan

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